読書感想: 日経産業シリーズ 繊維(吉岡政幸, 日本経済新聞社)
公開日: | 最終更新日: 2018/06/06 読書・学び
古い本ですが(1986年出版)、あまり知らない時代の話だったのと(や、もちろん生まれてはいるんですが)、いまも当てはまりそうだなぁっていう内容が多くて興味深く読みました。
概要と感想
主たる内容は、主に第二次世界大戦後~1970年代ごろまでの日本の繊維産業の概要と、それ以後についての展望・提言。
昭和61(1986)年に出版された本。合成繊維メーカー「帝人」の理事の人が書いてます。
綿紡績を中心とする天然繊維業界に対してやや辛辣だなぁという感じはあるけど、まぁ概ね事実なんだろうなーという印象。
わたしがまったく知らない時代の話で、合成繊維も含めた日本の繊維産業全体について概観できる内容なので、とても興味深く読みました。織布については、ちょうど革新織機が導入されるかどうかという時期。
経済の発展にともなって全産業における軽工業の割合が小さくなること自体は自然なことだろうとは思いますが(ホフマンの法則)、具体的にどういった経緯を辿りながら日本の繊維産業が小さくなっていったのかという話も興味深く。
繊維業界に身をおく人が日本の繊維産業がこのまま廃れてはいけないという問題意識で書いているため、厳しい意見とともに生き残るための示唆にも富んでおり、30年くらい前に書かれた本なのにいまも充分にあてはまるであろう話が多くて、国産ジーンズを応援しているわたしとしてもいろいろ感じるところがありました。
あと、(本筋とは関係ないですが) Kaneboってもとは紡績の会社だったんだ?!っていうところにビックリ。(化粧品のイメージしかなかった。)
書誌と目次
【書誌】
吉岡政幸『日経産業シリーズ 繊維』日本経済新聞社、1986年
【目次】
第1章 繊維産業とは
1.繊維産業の地位
2.繊維産業の特色
3.特異な流通と価格形成
4.成熟化した繊維産業
第2章 繊維産業の経営環境
1.変化の激しい消費構造
2.頭打ちの輸出と急増する輸入
3.簡単に進まぬ設備近代化
4.急展開する多角化
第3章 繊維産業のこれから
1.迫られる衣料部門の強化
2.高級化・差別化製品の育成
3.国内市場の再開発と輸出確保
4.カギ握る革新技術分野
第4章 各社の戦略を探る
旭化成工業、東レ、帝人、ユニチカ、三菱レイヨン、クラレ、東邦レーヨン、東洋紡績、鐘紡、日清紡績、倉敷紡績、日東紡績、大和紡績、富士紡績、オーミケンシ、敷島紡績
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