ポリエステルとポリウレタンの違い、というか、覚えるためのキャラわけ的な・・・
公開日: | 最終更新日: 2018/06/06 読書・学び
なんだか本筋からだいぶ外れてきてますが、ジーンズソムリエ公式テキストに出てくる「ポリエステル」と「ポリウレタン」をちゃんと区別して覚えるために、特徴・違いなどを列挙して頭の中でキャラわけしようと思います。
テキストの中でポリエステルとポリウレタンがたまにさりげなく登場するんですが、あの話で出てきたのどっちだっけ?ってすぐなるので。
繊維の基礎知識がある方、化学がわかる方にとっては「ぜんぜん違うよ!なに言ってんの?」な話だと思いますが、繊維の知識もなく、高校で地学選択だった私には何のことやらチンプンカンプン。
化学式を見ればわかるよって方は、コトバンク等をご参照ください。
⇒ ポリエステル(コトバンク)
⇒ ポリウレタン(コトバンク)
えーと、違いを列挙する前に、まずは共通点から。
【ポリエステルとポリウレタンの共通点】
- 化学繊維の中の合成繊維である。
- 接頭語「ポリ」: ポリ(poly-)は、「複数の。多くの。重合された。重合体の」という意味の接頭語。重合体とは、「重合〈小さい分子が結合して大きな分子(=高分子)となること〉によって生じた化合物。ポリマー(高分子化合物)」。(国語辞典、英和辞典などより)
では、それぞれの特徴・相違点を。
※ ポリ兄、ポリ弟というのは私の勝手なキャラ設定です。ポリエステルの方がポリウレタンより先に生まれたようなので、ポリエステルを兄にしました。
□ ポリエステル(ポリ兄)
- 分子内にエステル結合-CO-O-をもつ高分子化合物の総称。
- 1941年に開発され、1953年、工業生産開始。
- 強度、耐熱性、形態安定性など多くの特性に優れており、コストも比較的安い。
- ナイロン、アクリルとともに、3大合成繊維の1つ。
□ ポリウレタン(ポリ弟)
- 分子内にウレタン結合-OCONH-をもつ高分子化合物の総称。
- 1959年、工業生産開始。
- ゴムを代替する合成繊維。6倍以上にも伸びるただ1つの弾性繊維。単独で用いられることは少なく、他の繊維を巻きつけたり覆ったりした複合糸として用いられる。ストッキング、水着、スポーツウエアなどに使われる。
- 別名、スパンデックス。
参考資料:
- 化学繊維技術の歴史(日本化学繊維協会)
- 化学繊維の開発(京都工芸繊維大学 繊維科学センター、PDF※)
- コトバンク: ポリエステル繊維、ポリエステル、ポリウレタン
- 繊維の種類と加工が一番わかる しくみ図解
- テキスタイル用語辞典
- ファッションのための繊維素材辞典
だいぶ違いがわかってきました。
ではあらためて、
ジーンズソムリエ公式テキストのポリ兄弟?登場シーンをおさらい。
【ストレッチデニム】
デニムに伸縮機能を加えるため、経糸か緯糸または両方にポリウレタン弾性糸(伸び縮みする性質の糸。下着、スポーツウエアでおなじみ)を使ったストレッチデニムも、ジーンズに根強く使用されて増加している。ストレッチヤーン(ヤーン:糸)としては、ポリエステルやナイロンなどの加工糸を使用したものもあるが、スパンデックス糸(ポリウレタン弾性糸のこと)を芯として綿を外側にカバーした「コアヤーン」か、スパンデックス糸と綿糸を合糸した「ツイストヤーン」が一般的で、ストレッチ性、リカバリー性ともに前者の加工糸タイプより優れている。コアヤーン、ツイストヤーンとも、およそ綿95%・ポリウレタン5%程度の混合構成が多い。この程度の混用率が、高い伸縮性を得ながら綿織物本来の性質を保つ適切なものといえる。最近では、特殊製法のポリエステル糸で十分なストレッチ性能を保つものもある。
ストレッチ以外にも、清涼感、速乾、暖感などの機能をもたせるために、ポリエステルをミックスしたものもある。(ジーンズソムリエ公式テキスト p.35-36)
最近多いストレッチデニムの場合、ここ〈精紡の工程〉で弾性繊維(ポリウレタン)を綿の中心に挿入する。(ジーンズソムリエ公式テキスト p.13)
【縫い糸】
縫糸はブリーチやストーンウォッシュなどの脱色工程に合わせて、色相の変化を調和していかねばならない。ジーンズ用途の縫糸の主な組成には3種のタイプがある。(1)コットン100%糸(カタン糸)、(2)頑丈で高速ミシンにも使え、後加工にも強いポリエステル糸(スパンなど)、(3)コア構造のもの。
ミシン糸におけるコア構造とは、芯部分がポリエステル(またはナイロン)、外側が綿である。内部のポリエステルは、激しい洗い工程での劣化に対抗する強度保持機能を受け持ち、外側の綿の部分は優雅に色落ちしていくという外観にこだわった感覚を受け持つ。実は、このコア構造(コアヤーン、または、コアスパンとも呼ぶ)は日本独特のもので、外国にはほとんどない。中国や欧米のジーンズ企画者の考え方は(ポリエステル)スパン縫糸で十分、コアヤーンへのこだわりは(当面は)ないということらしい。ここにも日本人独特の「見た目の色相を美しく」というきめの細かい美的感覚がある。ポリエステルを高圧分散染料で、綿の部分を反応染料でと「2浴(回)染」という手間をかけてまで、微妙な色合いの実現を重視している。(ジーンズソムリエ公式テキスト p.45)
【ファスナーの部品】
テープ(Tape):
ジーンズ本体に縫い付けられてファスナーを支える基布となる。ジーンズの場合は本来「綿」製が伝統的な物であった。しかし縫製の後に、塩素系脱色工程などの洗い加工という厳しい工程を通る。また「製品染め」という手法もあり、特殊な染料や助剤が使われるなど、ファスナーがどんな過酷な化学変化を受けるか予測ができにくい。濃色から淡色、そしてブリーチのように白っぽい方向へと変化していく色相に、テープ布地の部分も追従しながら段階的に脱色する必要もある。テープ織物のポリエステルと綿の混用具合などで、同じような色あいを実現させるなどのきめ細かい工夫が必要である。エレメントが固定される端部は厚くなっているものが多く、その厚みを増した部分は特に「芯紐」とよばれる。(ジーンズソムリエ公式テキスト p.43)
【スレーキ(袋布)】
袋ポケットの袋布。デニムでは作らず、薄い生成りの綿布(ポリエステル混など)を使用することが多い。(ジーンズソムリエ公式テキスト p.61)
【バイオウォッシュ】
バイオウォッシュで使用する酵素はセルロース分解酵素なので、綿、麻、レーヨン等のセルロース繊維には効果があるが、ポリエステル、ナイロン、アクリル、絹、ウール等の他の繊維には効果がないので、それを利用した特殊な用途も開発されている。(ジーンズソムリエ公式テキスト p.100)
ジーンズ関連では、
ストレッチデニムに織り込まれるのはポリウレタン(ポリ弟)を使った糸が多く、そのほか、縫い糸やスレーキ、ファスナーのテープなどにはポリエステル(ポリ兄)が活用されているようです。
ぐいーんと伸びた方がいいときはポリウレタンを混ぜて、耐久性とほどよい柔軟性を必要とするときにはポリエステルを使うという感じかな。
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