繊維製品におけるデニム生地の位置づけをざっくりまとめてみた。
公開日: | 最終更新日: 2018/06/06 読書・学び
繊維の種類と加工が一番わかる しくみ図解を読みました。
この本の中でデニム(綿布)に関する部分は多くはないですが、繊維全般について広く基礎的な知識を得られるので、繊維製品の中でデニムはどういう位置にあるのか(ここに分類されるんだな)という頭の整理ができます。
ということで、色んな繊維のカテゴリにおいてデニムはどこに該当するのかという点についてまとめてみました。
織物と編物
布地には、織物、編物など様々な種類がある。
デニム生地は「織物」。
- 織物: たて糸とよこ糸を原則として互いに直角かつ上下に交錯させて平面のシートにしたもの。
- 編物: よこたていずれか1方向の糸を使ったループを連続させることによって作られるもの。
天然繊維と化学繊維
デニム生地の素材である綿は、天然繊維のなかの植物繊維。
- 天然繊維: 自然が生み出した繊維。麻、綿などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維、鉱物繊維(石綿)がある。
- 化学繊維: 化学的な手法で人工的に作り出した繊維の総称。
フィラメント(長繊維)とステープル(短繊維)
デニム生地の素材である綿は、ステープル(短繊維)。
ステープルはそのままでは織ったり編んだりできないので、紡績によって長い糸にする。
- フィラメント: 絹のように連続した長い繊維。長繊維。
- ステープル: 綿や羊毛のように短い長さで切れている繊維。短繊維。
※ 化学繊維はフィラメントとして作られるが、それを切断することによってステープルとして使用することもできる。
先染めと後染め
デニム生地は、糸の段階で染色される「先染め」の織物。
- 先染め: 布地になる前の段階で染色されること。原毛染色、糸染めなど。
- 後染め: 布地になった後の段階で染色されること。生地染め、製品染め。
染料と顔料
繊維の着色に使われる着色剤としては、染料と顔料がある。
デニム生地のたて糸の染めには、インディゴ「染料」を使う。(デニム生地のよこ糸は、原則として着色されない。)
- 染料: 水や溶剤に溶けるか分散し、繊維に親和性があるもの。
- 顔料: 水や溶剤に溶けず、繊維に親和性がないもの。繊維に着色する場合は、高粘度のポリマー(ある種の接着剤)で固定する。
浸染と捺染
染色(着色方法)を大別すると、浸染と捺染がある。
デニム生地のたて糸の着色方法は「浸染」。
- 浸染(しんせん): 染料と補助薬剤(助剤)を溶解した染色浴槽の中へ浸して着色すること。
- 捺染(なせん、なっせん): 布に染料や顔料で模様をつけること(プリント)。糊を媒体とする。
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ジーンズの勉強だけしてると、
デニム生地の場合はこうだけど、他にはどんな種類があるのかとか、色んなバリエーションがある中でデニムはどこに位置するのかとかがよくわからないので、「繊維の種類と加工が一番わかる(しくみ図解)」で全体を見渡すことができてよかったです。
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