細身スタイルが特徴の本格派ジーンズブランド「ザ・フラットヘッド(The Flat Head)の」八王子店に行ってきた。
公開日: | 最終更新日: 2018/06/06 国産ジーンズブランド探訪レポート 国産メンズジーンズの話題
ザ・フラットヘッド(The Flat Head)は、長野のビンテージレプリカ系ブランド。
東京の八王子市の直営店で(※東京にも何店か直営店があります)、気さくな店長さんから色んなお話を聞かせてもらったので、以下でご紹介します♪
※店内の写真撮影はNGだったので、写真はお店の外から撮らせてもらったのを載せてます。
もくじ
どうして長野県? ~ フラットヘッドができるまでの話
▼フラットヘッド八王子店
長野のジーンズブランドって珍しいですよね。なぜ長野なんだろうと思ってたんですが、理由はシンプル。
社長さんの地元なんだそうです。
フラットヘッドの社長さんは1959年生まれ。
華やかな1950年代のアメリカのジーンズに憧れを抱き、長野でビンテージジーンズの古着屋さんをはじめました。
しかし、輸入した中古ジーンズは破れやすく、また、体格の違いから日本人が着るとダボっとしすぎてしまう。
だんだん、日本人がかっこよくシャープに着られて、頑丈で長く穿けるジーンズを作りたいという想いが強くなり、「ザ・フラットヘッド(The Flat Head)」を立ち上げることにしたんだそう。
ビンテージジーンズには、いまのジーンズにはない贅沢な仕様や味わいがある。フラットヘッドでは、その良さを引き継ぎながら、要所に現代の技術も取り入れ、レトロでありながらかつ丈夫で長く楽しめるジーンズを作っている、とのことでした。
ちなみに、
長野には、フラットヘッド直営のスーツのお店や、直営のカフェもあるそうです。
他のビンテージレプリカ系ブランドとの違いと特徴
日本人の体型にあわせた細身のシルエット
もともとアメリカ人向けに作られているジーンズのシルエットは、日本人にはややゴツすぎます。
フラットヘッドのジーンズは、シャープに着こなせるようにとの思いから、日本人(アジア人)の体型にあわせてお尻の下や太もものゆとり(余り)を削り、すっきりしたシルエットにしあげてあるそう。
身頃だけでなく、前ポケットはもたつきを抑えるために小さめ狭めに、バックポケットも他のブランドより小さめ・位置をやや上めにつけるなど、シャープに見せる工夫は随所に。(バックポケットのサイズはギリギリお財布が入るくらいとのこと。)
そのため、フラットヘッドのジーンズは、穿くと細く見えるんだそうです。
店長さんは、フラットヘッドのジーンズを穿きはじめたころ、友人に「痩せた?」って聞かれた経験があるそう!
縫製強度へのこだわり
フラットヘッド立ち上げに至るきっかけの1つが強度の問題でした。
長く愛用するためには丈夫でなければならない。素材の綿100%は譲れないので、その条件のもとでどのようにしてより強くするか。
古着屋さん時代のリペアの経験からビンテージの仕様で作った場合にどこがどのように傷みやすいかわかっていたので、フラットヘッドのジーンズは、それぞれの箇所について十分な強度が確保できるよう設計・縫製されているそう。
具体的な工夫もいくつか教えていただいたんですが、たとえば、
ベルトループの縫製糸が切れると生地が広がって強度が落ちることからループ本体の断裂に至りやすい。だから、ベルトループの真ん中にぽっこりと厚みをつけて縫製糸へのダメージを防いでいるとか、
ボタンホールはほつれ防止の縫いを入れたあとに穴をあけ(後メス)、ボタンホールのまわりに布のフサが出るようにすることで、フサがクッションがわりになってボタンのつけ外しによる生地の損傷をかなり減らすことができるとか、
厚みが出てしまうところも極力滑らかに縫いつけることでひっかかりを少なくしてダメージを防ぐとか、
バックポケットの縫いつけ方とか、リベットの位置とか、それはもうさまざまな工夫があって、とても興味深かったです。
色へのこだわり
フラットヘッドのこだわりは色にも。
インディゴ染料は、液に浸ける→液から出して空気に触れさせる、という工程を繰り返して次第に濃く染めていきます。
通常のデニム生地ではこの工程が15回程度なのに対し、フラットヘッドのジーンズに使われているデニムではこの工程を23~24回程度繰り返すのだそう。
この回数を通常と同じ浸け方で繰り返すと糸の芯まで染まってしまうので、槽の下まで沈めず浅めに入れて上げることによって芯まで染まらないように調整しているということでした。興味深い。
こうして濃い色に染められているため、フラットヘッドのジーンズは、ふつうに穿いていれば自然と濃淡のメリハリがつくんだそうです。また、タイトに作ってあるので、ジャストサイズで穿けばヒザ裏のアタリ(ハチノス)も出やすいとのこと。
ビンテージレプリカ系ブランドとしての立ち位置
一概にビンテージレプリカ系といっても色んな年代のものがありますが、フラットヘッドは、経済力が強くなり資材も豊富で作りたいものを作ることができた、華やかな1950年代のビンテージジーンズをベースにしています。
といっても、1950年代のビンテージジーンズの仕様に忠実に、ではなく、他の年代の方がいい部分・パーツはそれを取り入れ、ビンテージの仕様では縫製強度が足りない部分には工夫を施したり現代の技術を取り入れるなど、各年代と現代の技術のいいとこ取りで作っているそうです。
その他フラットヘッドのジーンズ情報
産地
産地は、岡山県。
織機
シャトル織機(旧式力織機)。
生地の重さ(厚み)
14.5オンス前後。
フラットヘッド八王子店について
八王子の繁華街の方ではなく住宅街にあります。JR八王子駅からは徒歩10分ほど。京王八王子駅(京王電鉄京王線)からだともっと近いです。
→ フラットヘッド八王子店
ゆっくり話せる雰囲気がいい感じ。店長さんによるとお客さんと2~3時間話し込むのはよくあることで、おしゃべり好きなお客さんとは5時間とか話してることもあるんだそう!
まとめ
興味深いお話がたくさん聞けてとても勉強になりました。
フラットヘッド(The Flat Head)は、ビンテージレプリカ系としては珍しい、スタイル・見え方にもこだわったジーンズブランド。気になる方はチェックしてみてください♪
ショップをチェック! 公式&関連リンク
スポンサード・リンク
関連記事
職人さん一家によるデニムパンツのブランド「HighRock」でお話聞いてきたよ。
HighRock(ハイロック)は、児島にあるデニムパンツのメーカー。ジーンズ、デニムのブッシ
エドウィン(EDWIN)の歴史とか人気のジーンズとか、中の人に教えてもらいました♪
昨日の続編というか本編というか、どうして問い合わせることになったのかと、教えていただいたエドウィンの
桃太郎ジーンズ色落ちコンテストは明日〆切! & わたしの桃太郎ジーンズ近況レポ
【追記】 Faded Jeans Contest 2015グランプリが発表されました! か
Dモールでドミンゴの歴史から新ブランドのお話までいろいろ聞いてきたよ。
いつか訪問してお話聞きたいと思っていた「ドミンゴ」。岡山のジーンズメーカーのなかでも特に老舗
ジーンズブランド「フルカウント(Fullcount)」のキーワードは穿き心地♪ ~ ジンバブエコットンを甘撚りにて。
フルカウント(Fullcount)は、穿き心地にこだわったビンテージレプリカのジーンズブ
ジーンズストリートに《カラフル》なブランドが登場! ~ PALLET LIFE STORY
もろもろ時間に追われていたりあちこち更新したりで、こちらしばらく滞っていましたが、8月の岡山
レディスジーンズの老舗ブランド「SOMETHING(サムシング)」の歴史といま
SOMETHINGは、株式会社エドウインによるレディスジーンズのブランド。 SOMET
ステュディオ・ダルチザン(STUDIO D’ARTISAN)直営店でジーンズの色のお話聞いてきた♪
1979年創業、日本のビンテージレプリカ系ブランドのなかで最も歴史の古い「ステュディオ・
アイアンハート(IRON HEART)の21ozジーンズのヒミツを聞いてきたよー。
ジーンズやアメカジのセレクトショップで「21oz(21オンス)」のタグを見かけて気になっ
kojima market placeで去年からほしかったネックレス買っちゃった♪
去年お邪魔したとき、シックな雰囲気のデニム雑貨イイっと思ったkojima market pl